学校でのキャリア教育の課題
TOMONI Careerが事業展開する兵庫県下の学校では、キャリア教育にとても力を入れていることが分かります。兵庫県教育委員会では特設サイトを設けて、キャリア教育に取り組む学校や先生方に対する概論や各種資料などをサイト上で公開して後押しを図っています。
それらの資料を一通り閲覧し動画も見た中でTOMONI Careerが気づいたことがあります。兵庫県教育委員会の資料によれば、キャリア教育では、以下の4つについての教育学習をすることを推進しています。

(「特別活動を要としたキャリア教育推進事業」令和2(2020)年3月 編集発行 兵庫県教育委員会より)
このうち、人間関係形成・社会形成能力と、課題対応能力については学校の授業や校内活動などで、同級生やクラブ活動他で学校という空間のなかに限られるにしても一つの社会が存在し、他の生徒や先生との関わりの中で活動していくことで能力形成がなされることは容易に想像できます。学級活動を通じてグループのメンバーと役割を分担して何かの目的のために協力し合うなど、学校生活がそのまま教育につながっていると言っていいでしょう。一方で、自己理解、自己管理能力やキャリアプランニング能力に関してはどんな方法が考えられるかとふと考え込みました。
キャリアコンサルティングの視点で言えば、この自己理解やキャリアプランニング能力は、学校活動の中での経験がそのまま活かせることはまずありません。つまり相応の教育カリキュラムが必要であるはずです。しかし今のキャリア教育は学校内では、”特別活動”に属し、いわゆる学級活動の中で進めることになっています。よって国語や算数のような教科書はありませんし、学習到達度を測るような試験もありません。そのような中で自己理解、自己管理能力とキャリアプランニング能力を~と言われても、それで無くても多忙な先生方にはやはり酷な話です。
これではキャリア教育がめざす成果を得ることは難しいでしょう。
参考までにこの資料の冒頭を要約すると以下のようになります。(以下同資料より引用)
はじめに
子ども達が大人になる頃には、生産年齢人口の減少、グローバル化の進展や絶え間ない技 術革新等により社会構造や雇用環境は大きく、また、急速に変化しており予測困難な時代に なっていると言われています。 また、国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)において、日本の学力は上位にあります が、一方で多くの子ども達が、学校の学びと将来への有効性を実感していないという課題が 見られました。 こういった社会背景の中、子ども達が学ぶことと自己の将来とのつながりを見通したり、 社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を身に付けるキャリア教育がこれ まで以上に求められます。新しい学習指導要領においては「特別活動を要としつつ各教科等 の特質に応じて、キャリア教育の充実を図ること」が初めて明記され、特別活動(学級活動) に「一人一人のキャリア形成と自己実現」に関する内容が位置付けられました。 また、第3期「ひょうご教育創造プラン」においても、社会の変化に柔軟に対応できる力 やこれからの社会を創造していく力の育成に向け、子ども達が将来の夢や目標に向かって主 体的にキャリア形成と自己実現を図ることをめざし、第3期プランの基本理念に「『未来へ の道を切り拓く力』の育成」を重点テーマとして加えています。 (中略)本資料と具体的な取組を参考にしていただき、各学校の実態に応じたキャリア教育 を推進していただきたいと思います。 (後略) 令和2年3月 兵庫県教育委員会
さて、冒頭文にある通りキャリア教育の重要性は強く認識されていることがわかります。しかし一方で、現場は個々の工夫でという状態なわけです。
キャリアコンサルティングの視点での指摘としては、まず自己理解とキャリアプランニング能力は継続的に取り組むもので、一定の学習ができればそれで終わりというものではありません。つまり自己理解についていえばそのやり方を身に着けることとそれを定期的に促すことを目的とするべきと言えます。またキャリアプランニングは、その生徒や児童が興味や関心をもった職業や仕事に関する理解を深め、その職業や仕事に人がどのように関係しているのかということを理解することがまず第一義に来なければ、学びと将来への有効性は結びつきません。その上でその仕事につくには?その仕事につけなくても?その仕事についたらどんなことが身に着けられるだろうか、その仕事は将来どう変化するのだろうか?に考えを及ばせるような学級活動を通じて、最終的に”その時考えた”キャリアプランを作ることが重要です。仕事の中身もわからず、どんな人がその仕事にかかわっているのかも知らず、その仕事をした事でどんな経験やスキルが身につくのかを考えないままでキャリアプランニング能力など身につくはずもありません。
TOMONI Careerの事業がなぜ学校に向けたサービスを展開するのか。それはその部分をお手伝いするためのサービスが必要だからと感じているからです。県教育委員会は様々な参考資料を提供してくれていますが、それを熟読しカリキュラムを考えるだけでも先生方の負担は相当な物でしょう。学校内で、先生方だけで悩んでおられるならTOMONI Careerにご相談ください。